醍醐味って何味?

「いやあ、見応えのある一番でした。」

「はい。これぞ相撲の醍醐味ってものですね。」

以前、テレビで相撲を観戦していると解説の二人のこんな会話が聞こえてきました。現代では醍醐味という言葉は、物事の本当の面白さという意味で使われることが多いようですが、これも私たちの日常に多く見られるように、仏教由来の言葉の一つです。

古代インドでは、牛や羊の乳を精製していく過程を五段階に分け、それらの味を「五味」と呼んだそうです。乳味(にゅうみ)(らく)味、生酥(しょうそ)味、熟酥(じゅくそ)味、といった具合に味はより洗練され美味しくなります。そして最上のものが醍醐味です。経典『涅槃経』の中で、この醍醐味こそが涅槃(浄土)の境地である、と譬えられていることに由来しているわけです。

ちなみに醍醐味はサンスクリット語で「サルピスマンダ」といい、それにカルシウムをもじって名付けられたのが「カルピス」だそうです。夏場の暑い日のカルピスは確かに美味しいですよね。最近じゃビールのほうが欲しくなる私ですが・・・。

親鸞聖人は、阿弥陀仏のご本願(あらゆるいのちを救おうと建てられた阿弥陀仏の願い)を、私たちの苦悩を癒す「醍醐の妙薬」であると仰って、仏のお慈悲の中で人生を歩んでいくことを喜んでゆかれました。南無阿弥陀仏。

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